著者
水谷 千代美 川之上 豊 平野 泰宏 土田 百恵 弘田 量二
出版者
大妻女子大学人間生活文化研究所
雑誌
人間生活文化研究 (ISSN:21871930)
巻号頁・発行日
vol.2017, no.27, pp.210-212, 2017-01-01 (Released:2020-04-02)
参考文献数
4

接触性皮膚炎患者とアトピー性皮膚炎患者に大別され,化学繊維製の衣服の着用した際に,かゆみ,湿疹,かぶれなどの症状に苦しんでいる.皮膚科医はアレルギー性皮膚炎患者に対して,ポリエステルのような化学繊維の着用を避けて綿繊維の着用を薦めている.しかし,医療機関は,なぜ綿繊維がよいのか実証されていない.本研究は,アレルギー性皮膚炎患者の皮膚の水分,油分,弾力および皮膚pHを健常者と比較し,皮膚の状態を把握した後に,アレルギー性皮膚炎患者に綿および二種類のポリエステル繊維を用いたアームカバーを装着し,繊維の違いが着用感およびかゆみなど皮膚に与える影響について調べた.その結果,かゆみは,汗に含まれるかゆみ成分であるヒスタミンが影響し,疎水性繊維であるポリエステルはヒスタミンを含んだ汗が表面に残り,ポリエステル繊維と皮膚が摩擦されることによってかゆみが発生しやすく,親水性繊維の綿は,汗を吸水するため,かゆみを抑えることができると考えられる.しかし,汗をかいていない場合は,布の曲げ硬さや表面特性が関係し,たとえ綿であっても硬い綿布は皮膚を刺激して不快感を与えることが分かった.