- 著者
-
宮里 和子
鎌田 久子
坂倉 啓夫
末光 裕子
菅沼 ひろ子
- 出版者
- 医学書院
- 巻号頁・発行日
- pp.634-637, 1985-07-25
§続・初体験 前号において問題にした破瓜の習俗は,今日のモラルからみれば,許されることではないと決めつけがちであるが,一種の性教育とみなされていたことを見落としてはならない。 島根県東部の漁村での話に,12,3歳の娘が,まだ娘にならん前に,50歳以上のごけじいさんにオセ(大人)にしてもらうことがあったという。西石見地方でも娘が13歳になると,親が部落内の男衆に頼んで大人にしてもらうのをスケワリと呼んでいたという。福井県でもこのような習俗をアナバチといい,特定の者が,12,3歳の女子を一人前にして,若者(青年男子)の仲間に告げる風があった。破瓜したことを公表するわけで,前記の島根県でも,若連中(青年男子)にオセになったことをふれてもらったというが,これで名実共に一人前になったことで,婚姻可能な成女であることを公表し,結婚でぎることを願ったのである。