著者
田村 康二 坂内 省五 樋熊 紀雄 小沢 武文 松岡 松三
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.8, no.13, pp.1273-1280, 1976

冠予備力の測定には最大冠血流量の起こさせ方とその測定法に問題がある.そこで種々のストレス下での経時的冠血流量の変化の内での最大血流量の変化をみて冠血流量の予備力をヒトで検討してみた.(1)冠動脈全体の最大血流量(冠予備力)の判定についてi)運動試験の場合:平均36%の増加の冠血流量を認めた.ii)精神暗箪負荷試験:平均26%の冠血流量の増加を認めた.しかしいずれも動物実験から推測される最大血流量には至らなかった.iii)ニトログリセリン投与:9.5~14.4%の増加.iv)亜硝酸アミル投与:63% .v)Dipyridamole:46%の増加.vi)Etaphenone hydrochloride:9%の増加と薬剤投与で最大血流量は認められなかった.vii)冠静脈洞ペーシング負荷法:104%の増加が非心筋虚血群で認められた.これも最大血流量はみれないが負荷法としては安定していた.(2) 単一冠動脈の冠予備力:冠動脈造影時の冠血流量の反応が手掛りを与えてくれる.