著者
川井 考子 坂口 峰子
出版者
和歌山信愛女子短期大学
雑誌
信愛紀要 (ISSN:03893855)
巻号頁・発行日
vol.28, pp.25-31, 1988-02

持ち帰り弁当21品目について,その栄養性を検討し,以下のような結果を得た。1)使用食品数は,幕ノ内弁当15〜17,うなぎ弁当3,幕ノ内弁当を除いた平均食品数は6.7±2.1であった。栄養のバランスは,食品の数と同時に,食品の種類,組み合せの影響も大きかった。2)総エネルギー量は,最高1121kcal,最低563kcal,平均802±142kcalで,900kcal以上のものが9品目(42.9%)を占めた。肉類より魚を主菜としたものの方がエネルギー量は低かった。3)蛋白質エネルギー比は低く,糖質エネルギーは,比較的高い傾向がみられ,適正比率内は4品目であった。4)蛋白質含有量は,から揚弁が最も高く(35〜38g,動蛋比80%),ちらし弁,焼そば弁2が最も低く(14,18g,動蛋比24,40%),充足率は13品目(61.9%)が10〜30%不足傾向であった。又,供給源も限定されていた。5)徴量栄養素の含有量を成人男子1/3日所要量に対する充足率でみると,21品目中,Caは21品目(100%),Fe,ビタミンB_1は,16品目(76.2%),ビタミンA,C,ナイアシンは18品目(85.7%),B_2は19品目(90.5%)が,各々低値で不足を示した。野菜,果物の使用量は少くなく,カリウム含量も低かった。繊維量は幕ノ内弁当で1.0〜1.5g,他はすべて1g以下であった。6)食塩は,焼肉,焼そば弁当が5.8g,5.1gと最も高く,次いで幕ノ内弁当(4〜5g)であった。主菜の蛋白源に肉と魚を組み合せたもの,又,のり,ジァコ,貝,昆布の佃煮,人参,キャベツ,芋類を付合わせた弁当のバランス性が優れている傾向が伺えた。