著者
坂口 恵亮 宮﨑 将之 立花 雄一 上田 哲弘 明石 哲郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.31-36, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
10

症例は60代男性.切除不能肝細胞癌(T2N0M1 Stage IVB)に対しアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法を開始し,2コース施行後のCTにて肝内病変の縮小を認めた.治療開始5カ月後に鼻出血が出現し,圧迫止血困難のため耳鼻科にて焼灼術を2回施行した.ベバシズマブによる副作用と判断し,ベバシズマブを休薬とし,アテゾリズマブ単独投与を2コース施行したが,CTにて肝内病変の増大を認めた.ベバシズマブ減量投与(7.5 mg/kg)にて併用療法を再開し,2コース施行後のCTにて肝内病変の縮小を認めた.鼻出血の再燃なく経過し,7コース施行後のCTにて肝内病変はさらに縮小し,肺転移の1カ所は不明瞭化した.