著者
坂口 恵亮 宮﨑 将之 立花 雄一 上田 哲弘 明石 哲郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.31-36, 2024-01-01 (Released:2024-01-10)
参考文献数
10

症例は60代男性.切除不能肝細胞癌(T2N0M1 Stage IVB)に対しアテゾリズマブ・ベバシズマブ併用療法を開始し,2コース施行後のCTにて肝内病変の縮小を認めた.治療開始5カ月後に鼻出血が出現し,圧迫止血困難のため耳鼻科にて焼灼術を2回施行した.ベバシズマブによる副作用と判断し,ベバシズマブを休薬とし,アテゾリズマブ単独投与を2コース施行したが,CTにて肝内病変の増大を認めた.ベバシズマブ減量投与(7.5 mg/kg)にて併用療法を再開し,2コース施行後のCTにて肝内病変の縮小を認めた.鼻出血の再燃なく経過し,7コース施行後のCTにて肝内病変はさらに縮小し,肺転移の1カ所は不明瞭化した.
著者
梅谷 聡太 宮﨑 将之 立花 雄一 上田 哲弘 明石 哲郎
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.64, no.12, pp.618-623, 2023-12-01 (Released:2023-12-11)
参考文献数
13

症例は50代男性.アルコール性肝硬変にて当科通院中であった.両目の視力低下で救急外来を受診し,頭部MRIで異常を認めず,眼科,脳神経内科にコンサルトしたが視力低下の原因は不明で当科入院となった.肝性脳症を疑い治療を行うも視力の改善なく,代謝性脳症が疑われ脳神経内科に転科となった.頭部MRIを再検し,拡散強調画像で両側基底核に高信号域を認め,代謝性脳症や薬剤性脳症が疑われた.ビタミンB1大量静注,ステロイドパルス,免疫グロブリン大量静注療法等を施行したが視力の改善はみられなかった.家族からの問診で以前にメタノールの飲用歴があったことが判明したため,尿中メタノール検査を施行しメタノール中毒の診断に至った.視力は回復せず全盲のまま退院となった.
著者
明石 哲郎 河辺 顕 坂本 竜一 宜保 淳也 井上 直子 小島 瑞穂 久野 晃聖 有田 好之 伊藤 鉄英 名和田 新
出版者
The Japanese Society of Gastroenterology
雑誌
日本消化器病學會雜誌 = The Japanese journal of gastro-enterology (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.100, no.6, pp.713-718, 2003-06-05
被引用文献数
8

膵仮性嚢胞は, 急性膵炎や慢性膵炎の合併症として, しばしば経験する. しかし, 縦隔内膵仮性嚢胞はまれで, 我々の検索しえた範囲では, 本邦報告例は21例である. また, その治療は, 大多数が嚢胞摘出術や嚢胞ドレナージ術などの外科的治療を受けている. 今回, 我々は抗酵素療法に抵抗性を示す縦隔内膵仮性嚢胞合併膵炎に対しソマトスタチン誘導体投与が奏効し, 保存的に嚢胞の消失を認めた症例を経験したので文献的考察を加えて報告する.