著者
長坂 行雄 土谷 美知子 坂口 才 南 卓馬 小南 亮太 堀 哲雄 一瀬 増太郎
出版者
洛和会ヘルスケアシステム
雑誌
洛和会病院医学雑誌 (ISSN:13411845)
巻号頁・発行日
no.25, pp.18-22, 2014-08-31

問診とバイタルサイン、身体所見は効率的な診断、治療に直結する。急性の症状はバイタルサインに、慢性期の病態は身体所見に反映され、脈拍数は呼吸数の4~5倍の数値をとるが、呼吸困難時に相対的に呼吸数の増加が著しければ肺疾患を示唆することが多い。また、頸部の呼吸補助筋が発達しておれば肺気腫の可能性が高い。肺野でクラックルを両側の肺底部で左右対称に聴取すれば間質性肺炎の可能性が高い。四肢末梢の皮膚温で心拍出量も推定できる。必要な検査や処置の選択も速やかにできるように、自信を持てる身体所見を把握することが必要である。(著者抄録)
著者
長坂 行雄 土谷 美知子 坂口 才 中西 陽祐 味水 瞳 森川 昇 一瀬 増太郎 上田 桂子
出版者
洛和会ヘルスケアシステム
雑誌
洛和会病院医学雑誌 (ISSN:13411845)
巻号頁・発行日
no.29, pp.1-7, 2018-03-31

聴診器発明から200年になる。肺聴診は病態を即時に判断できる技術である。肺音は呼吸音(肺胞音、気管支音)と副雑音(ラ音、それ以外)に分けられる。肺胞音が聴かれる肺の大半で呼気がはっきり聴こえれば気管支音化である。軽度の気道狭窄や肺の硬化の可能性がある。ラ音は連続音のウィーズ、ロンカイ、ランブルと不連続音のクラックルに分けられる。連続音は気道狭窄で聴かれ胸部X線の異常を伴わない。不連続音は肺炎、間質性肺炎などの肺胞病変で聴かれ胸部異常陰影を認めることが多い。このような所見は聴診器をしっかりと当てて、患者に少し大きい息をさせることで得られる。前胸部と背部でそれぞれ4ヶ所聴診するのが基本であるが、各部位でよく聴かれる音の特徴を理解すれば聴き逃しなく、正確な所見が得られる。(著者抄録)