著者
竹山 恵美子 坂口 沙和 津田 早友果 中野 由希 新海 シズ 福島 正子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.66, 2014

【目的】柿の葉にはポリフェノール類が多く含まれ,その抗菌性や抗酸化性等が注目されている。古くから柿葉は柿の葉寿司や柿茶などに用いられてきたが,機能性に関する研究は未だ十分ではない。これまでの研究から柿の葉には&alpha;-アミラーゼ阻害活性が認められており,このことは,柿の葉に血糖値を抑制する働きがある可能性を示唆している。また,一部のヒト試験でもその傾向は認められている。そこで今回は柿の葉茶の血糖値抑制効果をさらに詳しく調べるために,食事性肥満マウスを用いて実験を行った。<br>【方法】B6J DIOマウス♂(8週齢)を1週間の予備飼育後,体重・血糖値を基に2群に分け,柿茶投与群には柿茶抽出濃縮物の0.5%溶液を,対照群には水道水を,飼料は固形の高脂肪飼料D12492 60kcal%Fat をいずれも自由摂取させた。なお,体重,飼料摂取量,飲水量は経日測定し,血糖値は1週間ごとに尾静脈より採血してメディセーフミニ(TERUMO社)にて測定した。柿茶投与6週間後に,18時間絶食後,ゾンデを用いてグルコース負荷試験を行い,屠殺・採血後,解剖した。膵臓,肝臓,腎臓については組織標本を作製し,観察した。また,HbA1c をDCAバンテージ(SIEMENS社)により,血漿インスリンをMercodia社 マウスインスリンELISAキットを用いて測定した。なお本実験は昭和女子大学動物実験委員会の承認を得て,規定を遵守して実施した。<br>【結果】非空腹時血糖値及び,グルコース負荷試験時の血糖値,HbA1c,血漿インスリン濃度は,柿茶群と対照群に大きな差は認められなかったが,柿茶濃縮物投与群は対照群に比べてグルコース負荷試験における血糖値曲線下面積が低値となる傾向が認められた。血糖値抑制効果の可能性が示唆された。