著者
坂口 龍也
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
日本心理学会大会発表論文集 日本心理学会第84回大会 (ISSN:24337609)
巻号頁・発行日
pp.PD-041, 2020-09-08 (Released:2021-12-08)

ペットロスとはペットの死亡や逸走など,様々な理由によるペットの喪失形態を指す。ペットと暮らす上では不可避の出来事であり,それによる心身への影響も大きいと予想される。日本においてペットロスに関する先行研究は少なく,その介入法についても十分な検討がなされていない。本研究では,ペットロス経験に対する意味の付与と体験の回避が自己成長感に及ぼす影響について検討することを目的とした。ペットロス経験者139名を対象に質問紙調査を実施した。尺度としては(1)日本語版BEAQ(2)ストレスに対する意味の付与尺度(3)ストレスに起因する自己成長感尺度を用いた。重回帰分析の結果,ペットロス経験に対して,日本語版BEAQとポジティブな側面への焦点づけが自己成長感に負の影響(β=-.30, p<.001, β=.28, p<.05)を及ぼすことが示唆された。ペットロス経験に対して体験の回避が生じることで,価値づけた方向や活動から逸れ,ペットロスの受容が遷延化し,その結果として自己成長感を導きにくくなると考えられる。また,対人喪失と異なり,ペットロスの持つメッセージ性から自己の在り方や将来に対する具体的なビジョンを持つことの困難さが示唆された。