著者
坂本 富則 山本 雄嗣 秋本 尚武 桃井 保子
出版者
特定非営利活動法人 日本歯科保存学会
雑誌
日本歯科保存学雑誌 (ISSN:03872343)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.38-45, 2012-02-29 (Released:2018-03-15)
参考文献数
10

金属鋳造修復歯を金属接着性プライマーを用いて補修修復する場合,プライマーを金属部のみに塗布することは難しく,歯質接着性プライマーやセラミック接着性プライマーが金属部に付着することも少なくない.本研究は,補修修復の際の金銀パラジウム合金に対する金属接着性プライマーとシランカップリング剤の併用塗布が接着強さに与える影響について検討するとともに,被着面の研削条件の違いが接着強さに与える影響について検討を行った.金銀パラジウム合金を用い,通法に従って鋳造体を作製した.被着面は,シリコンカーバイドペーパー#600,カーボランダムポイント,アルミナサンドブラスト(50μm)の3条件で処理した.3種の金属接着性プライマー(アロイプライマー®;クラレメディカル,メタルプライマーII®;ジーシー,V-プライマー®;サンメディカル)を塗布,シランカップリング剤(クリアフィルポーセレンボンドアクティベーター®;クラレメディカル)を用いクリアフィルメガボンド®(クラレメディカル)で処理,クリアフィルSTオペーカー®(クラレメディカル)およびクリアフィルAP-X®(クラレメディカル)にて接着試験片を作製した.試験片は37℃水中保管48時間後,引張接着試験を行った.結果として,金銀パラジウム合金では金属接着性プライマー処理により接着強さの向上が認められた.シランカップリング剤塗布による接着強さへの影響は認められなかった.接着強さは被着面の研削条件に影響され,アルミナサンドブラスト処理したものが最も高い接着強さを示した.3種の金属接着性プライマーの問に接着強さの差は認められなかった.