著者
坂本 理郎
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.A115-A131, 2007

本研究は、近年の新規学卒者の採用をめぐる調査や文献をふまえたうえで、新規学卒者に求められる資質が「即戦力」ではなく、より基礎的な資質、いわゆる「基礎力」であることを指摘した。そして、このような求人側(企業)と求職側(新規学卒者)をつなぐ言葉の曖昧さを問題視し、これまで官庁や諸機関が実施してきた調査や提言の不十分な点や学術的検討の希薄さを示した。このような問題意識を背景に、関西を基盤とする大企業24社の採用担当者に対するインタビュー調査を実施し、質的データの分析を行った。その結果、「I.対自己」の基礎力として「自律」、「ストレス耐性」、「II.対他者」の基礎力として「言語的コミュニケーションカ」、「共感力」、「III.対課題」の基礎力として「論理的思考力」、「創造的思考力」、「実行力」を見出した。さらに考察を行い、「共感力」に「自己の感情の表現力」を加えて「情緒的コミュニケーションカ」とし、「実行力」の中に「適応・柔軟性」を加えることによって、仮説的なリストを提示した。このリストは仮説であるので、今後さらに調査を行い、検証していく必要がある。また、業種や職種での差異や、このような基礎力を、企業における人材の選抜および開発や高等教育において活用していく方策の検討を今後の課題としてあげた。
著者
坂本 理郎 西尾 久美子
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

本研究では、キャリア初期にある若手社員の成長に対して、どのような態様の関係性が有効であるか、どのようにしてその関係性は形成されるかを探った。ある製造企業の大卒若手社員35名とその上司11名に対して、アンケートおよびインタビュー調査を実施した結果、相対的に高い成長を示す若手社員は、特定の上司や先輩との垂直的で濃密な人間関係を持つ者よりも、対象が比較的多様で緊密さが緩やかな人間関係を構築していることを確認することができた。