著者
坂本 裕和 藤井 亮輔 光岡 裕一 坂井 友実 秋田 恵一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.218-225, 2011 (Released:2011-12-09)
参考文献数
20

【目的】経絡経穴とその周囲構造物との位置関係を形態学的に明らかにする一環として、 下肢後面における経穴について検討した。 【方法】東京医科歯科大学解剖学実習体3体6側を使用した。 下肢後面における足の太陽膀胱経に刺鍼を施し、 その部位を中心とした局所解剖を行った。 【結果】1. 承扶・殷門は、 大腿二頭筋の表層を走行する後大腿皮神経および深層を走る坐骨神経より内側に位置した。 2.浮ゲキ・委陽は、 大腿二頭筋停止腱の内側縁に沿って総腓骨神経の走路に位置した。 3.委中・合陽・承筋・承山・飛揚・フ陽・崑崙・申脈は、 内側腓腹皮神経、 腓腹神経およびは小伏在静脈に沿って位置した。 4. 委中・合陽・承筋・承山は、 深層では脛骨神経および膝窩動脈、 後脛骨動脈に沿って位置した。 【結論】1.後大腿皮神経および坐骨神経は承扶・殷門より外側を走行する傾向が強く、 これら神経への刺鍼は承扶・殷門より外側に施す必要性が示唆された。 2. 下腿後面の腓腹神経および小伏在静脈は、 末梢に向かうにつれて経穴に沿う傾向が強くなる。 3.下腿後面の深層を走る脛骨神経への刺鍼は、 委中・合陽・承筋・承山が効果的であることが示唆された。
著者
坂本 裕和 藤井 亮輔 光岡 裕一 坂井 友実 秋田 恵一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.197-208, 2010 (Released:2010-08-10)
参考文献数
30

【目的】骨盤内臓の疾患に対する重要な治療点としての八リョウ穴と骨盤神経叢の構成および臓側枝との位置関係を検討した。 【方法】東京医科歯科大学大学院臨床解剖学分野所蔵の実習体5体を使用し、 実体顕微鏡下で、 骨盤神経叢の構成および臓側枝の分岐形態と八リョウ穴との位置関係を精査した。 【結果】1. 骨盤神経叢を構成する交感神経成分の下腹神経は第2および第3腰内臓神経が恒常的に参加する上下腹神経叢から起こり、 骨盤神経叢の後上角に入る。 副交感神経成分の骨盤内臓神経は第2~第4仙骨神経前枝から起始し、 骨盤神経叢の後下角に入る。 陰部神経および肛門挙筋神経とは共通幹を形成する傾向が強い。 2. 骨盤神経叢から起こり骨盤内臓に分布する臓側枝は均一に起始するのではなく、 I~IV群に分かれる傾向が強い。 特に、 III群は排尿・性機能に深い関わりを持つ。 【結論】1. 八リョウ穴への刺鍼では、 骨盤内臓神経が恒常的に起こる第3および第4仙骨神経前枝に直接刺激が可能である中リョウ (BL33) および下リョウ (BL34) が骨盤内臓の機能に影響を及ぼすことが示唆される。 2. 八リョウ穴への深鍼では、 刺入鍼は直腸の側縁に達するため正中方向への刺鍼には注意を要する。
著者
郡 拓也 東條 正典 藤井 亮輔 野口 栄太郎 坂本 裕和 秋田 恵一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.811-818, 2010 (Released:2011-05-25)
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

【目的】WHOにより標準経穴部位(361穴, 2006)の合意が成され、 それに伴って秩辺の取穴場所の変更が行われた。 新旧両秩辺とその周囲構造物との位置関係および腰痛に対する治療部位としての坐骨神経への刺鍼点について検討した。 【方法】東京医科歯科大学解剖学実習体3体6側を使用した。 殿部および大腿後面における太陽膀胱経に、 WHOの取穴方法に従って刺鍼を施し、 その部位を中心とした局所解剖を行った。 【結果】1.新秩辺(WHO, 2006)は、 後大腿皮神経、 下殿神経・動脈、 坐骨神経が出現する梨状筋下孔の近傍に位置した。 2.旧秩辺は上殿神経・動脈が出現する梨状筋上孔の近傍に位置した。 3.殿部および大腿後面での坐骨神経への刺鍼部位として、 (1)坐骨神経形成根部、 (2)梨状筋下孔、 (3)仙尾連結と大転子を結ぶ線上の外側1/3点、 (4)坐骨結節と大転子を結ぶ線上の中点、 (5)承扶の約1cm外側の地点、 (6)殷門の外側、 大腿二頭筋筋腹の内側半部、 が挙げられた。 【結論】1. 新旧両秩辺とも殿部および大腿後面にとって重要な神経・血管の近傍に位置し、 種々の病的症状に対する有効な刺鍼部位と考えられる。 2. 殿部および大腿後面での坐骨神経に対する刺鍼部位として、 走行経路より6カ所が示唆された。
著者
坂本 裕和 藤井 亮輔 光岡 裕一 坂井 友実 秋田 恵一
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.61, no.3, pp.218-225, 2011-08-01
参考文献数
20

【目的】経絡経穴とその周囲構造物との位置関係を形態学的に明らかにする一環として、 下肢後面における経穴について検討した。 <BR>【方法】東京医科歯科大学解剖学実習体3体6側を使用した。 下肢後面における足の太陽膀胱経に刺鍼を施し、 その部位を中心とした局所解剖を行った。 <BR>【結果】1. 承扶・殷門は、 大腿二頭筋の表層を走行する後大腿皮神経および深層を走る坐骨神経より内側に位置した。 <BR>2.浮ゲキ・委陽は、 大腿二頭筋停止腱の内側縁に沿って総腓骨神経の走路に位置した。 <BR>3.委中・合陽・承筋・承山・飛揚・フ陽・崑崙・申脈は、 内側腓腹皮神経、 腓腹神経およびは小伏在静脈に沿って位置した。 <BR>4. 委中・合陽・承筋・承山は、 深層では脛骨神経および膝窩動脈、 後脛骨動脈に沿って位置した。 <BR>【結論】1.後大腿皮神経および坐骨神経は承扶・殷門より外側を走行する傾向が強く、 これら神経への刺鍼は承扶・殷門より外側に施す必要性が示唆された。 <BR>2. 下腿後面の腓腹神経および小伏在静脈は、 末梢に向かうにつれて経穴に沿う傾向が強くなる。 <BR>3.下腿後面の深層を走る脛骨神経への刺鍼は、 委中・合陽・承筋・承山が効果的であることが示唆された。
著者
郡 拓也 東條 正典 藤井 亮輔 野口 栄太郎 坂本 裕和 秋田 恵一
出版者
The Japan Society of Acupuncture and Moxibustion
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.811-818, 2010-11-01
参考文献数
14
被引用文献数
1 3

【目的】WHOにより標準経穴部位(361穴, 2006)の合意が成され、 それに伴って秩辺の取穴場所の変更が行われた。 新旧両秩辺とその周囲構造物との位置関係および腰痛に対する治療部位としての坐骨神経への刺鍼点について検討した。 <BR>【方法】東京医科歯科大学解剖学実習体3体6側を使用した。 殿部および大腿後面における太陽膀胱経に、 WHOの取穴方法に従って刺鍼を施し、 その部位を中心とした局所解剖を行った。 <BR>【結果】1.新秩辺(WHO, 2006)は、 後大腿皮神経、 下殿神経・動脈、 坐骨神経が出現する梨状筋下孔の近傍に位置した。 <BR>2.旧秩辺は上殿神経・動脈が出現する梨状筋上孔の近傍に位置した。 <BR>3.殿部および大腿後面での坐骨神経への刺鍼部位として、 (1)坐骨神経形成根部、 (2)梨状筋下孔、 (3)仙尾連結と大転子を結ぶ線上の外側1/3点、 (4)坐骨結節と大転子を結ぶ線上の中点、 (5)承扶の約1cm外側の地点、 (6)殷門の外側、 大腿二頭筋筋腹の内側半部、 が挙げられた。 <BR>【結論】1. 新旧両秩辺とも殿部および大腿後面にとって重要な神経・血管の近傍に位置し、 種々の病的症状に対する有効な刺鍼部位と考えられる。 <BR>2. 殿部および大腿後面での坐骨神経に対する刺鍼部位として、 走行経路より6カ所が示唆された。