著者
坂梨 左織 田島 康子 青木 芳恵 宗正 みゆき 吉川 千鶴子 原田 広枝
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1_61-1_70, 2016-04-20 (Released:2016-12-02)
参考文献数
28

目的:学士課程における血圧測定に関する教育プログラム開発に向けて,看護基礎教育における教育上の課題を明らかにすることを目的とした。方法:新人看護師4名を対象としてグループインタビューによってデータ収集を行い,質的帰納的に分析した。結果:課題として,〈血圧に関する生体機能の理解〉〈バイタルサイン測定の目的の理解〉〈血圧測定方法の基本的原理の理解〉〈血圧測定に関する科学的判断に基づく援助〉〈血圧測定を受ける患者の心情に配慮したかかわり方〉〈血圧測定時に患者に触れることの意味の理解〉〈電子血圧計の原理と特性の理解〉の7つが明らかになった。結論:血圧測定に関する知識・技術を1~2年次だけでなく,3~4年次の臨地実習前および卒業前に再度学習し評価する新たな教育方法の必要性やリフレクションの有用性が示され,教育プログラム開発に貢献できる可能性が示唆された。
著者
西尾 美登里 坂梨 左織 木村 裕美 久木原 博子 緒方 久美子 古賀 佳代子
出版者
バイオメディカル・ファジィ・システム学会
雑誌
バイオメディカル・ファジィ・システム学会誌 (ISSN:13451537)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.23-28, 2018-05-19 (Released:2021-03-15)

福岡市の高齢者における地域の災害避難場所の認知について, 実態調査を行い, 独居高齢者への災害支援のありかたについて検討した. 地域包括ケアシステムと介護の啓発を目的とした集会の参加者258 名を分析対象とし, 基本属性, フォーマルな相談窓口の認知と活用の有無, 活用している相談窓口数, 地域の避難場所の認知, 楽しみの有無, 情緒的支援, 自尊感情尺度について調査した. 分析は同居群と独居群の2群の差のカテゴリ変数にはχ2 検定, 連続変数にはMann–Whitney U 検定行い群間差を検定した. その結果, 独居高齢者は同居者がいる高齢者より有意に高齢で, 公の相談窓口を知らず, 相談談窓口数が少なく, 避難場所を知らず, 楽しみを有さず, 情的支援を受けていなかった. 都市部における高齢者への災害支援を充実させるためには, 特に独居高齢者が情的な交流のある生活の中で, 楽しみながら社会活動ができる場づくりを行う必要がある. また, 災害支援の情報提供は,社会活動ができる場で行うことが有益であることが示唆された.