- 著者
-
坂田 五月
- 出版者
- 聖隷クリストファー大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2004
【はじめに】温罨法は、身体の一部に温熱刺激を与えることにより保温と筋緊張緩和を促進する看護技術である。これまでの研究に引き続き平成18年度の研究では、熱源が異なる器具を用いた場合の保温と安楽の効果に注目した。【研究方法】対象は研究協力の同意が得られた成人24名。実験は冬季に実施し、温度は20℃、相対湿度50%に調節した。下着と長袖寝衣を着用し、掛け物はアクリル毛布1枚とした。15分間の安静臥床の後に毛布で身体を被覆した。湯たんぽを貼用した。生理学的指標としてR-R間隔、表面皮膚温度、腋窩温、皮膚血流量、寝床内の温湿度を連続測定し、R-R間隔より心拍数と心拍変動解析によるHF、LF成分を求めた。HFのパワー値を副交感神経反応の指標、LFとHF成分の比(LF/HF)を交感神経反応の指標とした。心理学的指標として温冷感と湿度感、快適感をそれぞれリカートスケールで得点化した。統計解析、Wilcoxonの順位和検定により基準値との差とSpearmanの相関により各項目間の関連性を検証した。有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮】聖隷クリストファー大学倫理委員会による承認を得て実施した。【結果】安静臥床終了時の足趾皮膚表面温度21.86±3.48℃、寝床の足元温度21.85±2.64℃、足趾温冷感-2.83±0.92点。HFのパワー値は45分まで上昇し、30分と45分で基準値との間に有意差を認めた。全身温冷感は快適感との間に高い正の相関(r=0.703)が認めた。足趾温冷感は快適感(r=0.664)とHFのパワー値(r=0.255)との間に正の相関を認めた。【考察】足元に使用した湯たんぽによる皮膚表面への温熱刺激は、身体の温冷感を改善し副交感神経の活動を亢進させる。湯たんぽの効果は60分を目安に評価し、湯たんぽの温湯の交換や足浴など保温や安楽を促進する援助を再検討する必要がある。