- 著者
-
坂田 寿子
- 出版者
- 埼玉大学大学院文化科学研究科
- 雑誌
- 博士論文(埼玉大学大学院文化科学研究科(博士後期課程))
- 巻号頁・発行日
- 2018
序章......2第一章 古典主義作品のモティーフ「地歌・上方舞」に至るまでのプロセス......5一、戯曲『象』における「保名狂乱」と「狐曾」谷﨑文学のテーマ「狐」、「母恋い」、「白」、「姉妹対象恋愛」の端緒と江戸趣味音楽......5二、『蘆屋道満大内鑑』における谷崎の恋愛傾向の原型―「姉、妹」との恋愛と狐に対する恐れと異類婚......18第二章 谷崎の江戸っ児意識と江戸趣味―芸能の視点から......26一、谷崎作品に影響を与えた下町庶民の愛好音曲......26二、谷崎の生活行動に見られる「江戸っ児」......44三、江戸趣味に隠された願望を紐解く『幇間』、『女人神聖』、『少年の脅迫』から―......45四、地歌・京舞への端緒―『朱雀日記』より―......55第三章 地歌曲目の視点から谷崎の作品を読み解く......60一、谷崎の地歌への開眼......60二、谷崎が愛した地歌......65三、「綾衣」、「由縁の月」―詞章から読み解く『蓼喰ふ蟲』の登場人物、老人とお久の心情とその背景......73四、「黒髪」―生身の女の情念の歌、『蓼喰ふ蟲』の美佐子の心情および晩年に至るまでの谷崎の「黒髪」に対する思い......83 ―主人公要のいる地歌「黒髪」と「雪」その裏に隠された妻美佐子とそのモデル千代夫人の情念―......83五、松子御寮人と「黒髪」......85六、「菊の露」丁未子夫人との結婚生活の破鏡と根津松子への恋慕の曲......91七、『卍』―谷崎の地歌熱中時代における地歌引用皆無の作品......104八、「茶音頭」の詞章と『春琴抄』および回想録『初昔』―谷崎自身と佐助、松子と春琴の役割、自己投影と松子御寮人から妻への二人の関係性の変化―......107九、地歌「茶音頭」に隠された人間関係『春琴抄』の「春琴」、「佐助」から『初昔』の「爺」、「婆」......110十、「茶音頭」と佐助......115 ―谷崎の分身佐助と佐助の盲目の真相―......115第四章 『細雪』......116一、戦前の谷崎文学の集大成の作品『細雪』の中での地歌・上方舞の重要性......116二、谷崎と上方舞「山村流」との関わり......117三、妙子と地歌「雪」......123第五章 『細雪』その後......129一、随筆「雪」......129二、山村流との訣別......133三、井上流との出会いと谷崎の老後と「残月」......135終章......141参考文献リスト......142