- 著者
-
坪井 孝太郎
- 出版者
- 愛知医科大学
- 雑誌
- 若手研究(B)
- 巻号頁・発行日
- 2017-04-01
家兎に対して、意図的毛様体解離を作成し、眼圧下降効果を評価し、以下の知見が得られた。0.05mlのヒーロンV(眼科手術用ヒアルロン酸ナトリウム)を使用した毛様体解離では、術前と比較し、術後に一定の眼圧下降効果が得られたが、有意な眼圧下降は1~2週間のみで、術後1ヶ月では術眼と非術眼に有意差は認められなかった。また前眼部OCT検査では毛様体解離の形成は認められたが、毛様体解離の範囲と眼圧下降の相関は認められなかった。また家兎における毛様体解離作成時に、ヒアルロン酸による加圧により頻度は多くないが脈絡膜破裂を生じるリスクが、本検討から明らかとなった。以上より、強膜創からヒアルロン酸ナトリウムを注入することで、意図的毛様体解離を作成することが可能であったが、一定範囲の毛様体解離を再現性を持って作成することは、現在行っている手法ではやや困難である可能性が示唆された。そのため、より安全かつ再現性を高める手法の検討を行った。まず術中の毛様体解離作成に使用するヒアルロン酸ナトリウム量に応じた術前低眼圧状態を作成してから、意図的毛様体解離作成を行った。また眼内観察下にて照明付きカテーテルデバイスを用いた毛様体解離作成をすることで、脈絡膜破裂のリスクを低減し、毛様体解離を作成することが可能であった。また眼内観察下での作成により、毛様体解離範囲の再現性も高まると考えており、今後は毛様体解離範囲の定量的評価にて再現性の評価を検討している。