著者
坪井 正道
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
化学と教育 (ISSN:03862151)
巻号頁・発行日
vol.42, no.5, pp.322-325, 1994-05-20 (Released:2017-07-11)

「はってはがしてまたはれる」これはポスト・イットという付箋紙の宣伝文句であるが, 水素結合は化学の世界でこれに似た挙動にあずかっている。生物が遺伝情報を保存し, 複写し, 発現する過程, われわれの舌が砂糖の甘味を感じるメカニズム, などに多かれ少なかれ水素結合が関与している。水素結合を切るのに必要なエネルギーは20kJ/mole程度にすぎない。これは化学結合の結合エネルギーに比べて圧倒的に低い。たとえば, 水分子H_2OのO-Hを切るエネルギー490kJ/moleの25分の1である。したがってこれは常温で温和な条件下で進行する反応に重要な役割をもつ。以下どんな所にどのような水素結合があるのか当たってみよう。
著者
坪井正道 [ほか] 編集
出版者
南江堂
巻号頁・発行日
1983