著者
坪内 逸美 小濱 啓次 櫻井 瑛大 服部 未来 松田 幸恵 吉岡 美貴
出版者
一般社団法人 日本臨床救急医学会
雑誌
日本臨床救急医学会雑誌 (ISSN:13450581)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.487-492, 2010-08-31 (Released:2023-03-31)
参考文献数
12

目的:大都市東京都と小さな地方都市鳥取県の救急医療体制の現状を比較検討し,両都県における救急医療体制の今後のあり方を考えようとした。方法:東京都と鳥取県の救急医療に関する資料(救急医療機関数,医師数,救急隊員数,救急車数,救急出場件数,転送率等)を集め,比較検討した。結果:東京都は救急医療機関数,救急隊員数等において鳥取県を大きく凌駕していたが,人口10万人あたりでその実態をみると,東京都は鳥取県より小さい数値を示し,傷病者が119番通報から医療機関に収容されるまでの時間も鳥取県の方が早かった。一方,都民の救急車の要請件数は鳥取県の1.5倍であった。結論:東京都においては,救急医療機関と救急隊の不足,救急車の過度の要請があり, これを改善するためには大学病院の救急診療への積極的な参加とドクターカーの運用,民間救急の導入,救急車の適切な利用を促すための普及啓発が必要であると思われた。また鳥取県においては,転送件数が多く,鳥取県中部地区における救命救急センターの整備と地域連携,医療機関の役割分担が重要であると考えられた。