著者
木村 文平 城所 達士 橋爪 満 駒形 清則 時光 昭二 山岸 光夫 大石 不二夫 佐藤 信英 大和 剛
出版者
日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.30, no.7, pp.1021-1027, 1990-12-20
被引用文献数
2

大多数の一般市民が日常診療を受ける場としての地域病院,診療所において肺癌を早期発見治療するための診療の組織化を試み,切除211例となったため,協同診療体制の効果について検討した.7病院16診療所が連携して1個の肺外科を共有し,呼吸器グループに胸部X-pを集中して読影,共同して早期診療に努めた.症例の特徴として,年齢層が高くI期例とくにp-Tl例が多く,腺癌が多く,他疾患診療中の発見例が多く,5年生存率は全体で46%であった.地域医療機関の組織化により,肺癌の早期診療を大幅に充実させうると考えられる.
著者
木村 文平 城所 達士 橋爪 満 高岡 和彦 河端 美則
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
雑誌
気管支学 (ISSN:02872137)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.357-361, 1998
被引用文献数
1

報告例の少ない縦隔気管支嚢腫を合併した肺葉外肺分画症を胸腔鏡下に切除しえた症例を経験したので報告する。症例は56歳男性で, 唾液に血液が混入したため受診, 胸部X線上異常影を指摘され, 縦隔腫瘍と診断され入院した。腫瘍は後縦隔に存在し神経原性腫瘍を疑い胸腔鏡下手術を施行した。胸椎右側面に4.5cm大の嚢腫とこの頭側に銀杏の葉状の異常組織を認め, 両者とも切除した。嚢腫は内腔が線毛上皮に被われ, 壁に軟骨および気管支腺があり気管支嚢腫と診断された。異常組織は内部に気管支, 細気管支構造および立方上皮で被覆された腺管がみられ, 肺葉外肺分画症と診断された。これらは前腸から肺原基が発生する胎生3∿4週頃の同時期の発生異常と考えられているが, 両者が合併した症例の報告は少なく, 本邦でこれまで1例の文献報告があるのみである。