著者
皿井 舞 塚本 麿充 神居 文彰 早川 泰弘 城野 誠冶
出版者
独立行政法人国立文化財機構東京国立博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

2019年度は、鳳凰堂内の修理事業の計画のうち天井の建造材の剥落止め作業が行われたことから、鳳凰堂母屋正面(東面)の天井、東面の4本の柱絵、及び、それまで足場の長さが足りず十分に届かなかった南面の柱等の調査を行う予定であった。6月11日に、事前調査として、足場最上層にのぼり格子天井や大虹梁ほかの彩色の状態を確認した。8月3日~4日、鳳凰堂内の目視調査を実施、従来、確認できていなかった柱絵の図容を調査した。また阿弥陀如来像が堂内で安置場所から移動するのにともない、10月14日~15日、像、光背などの撮影、調査をおこなった。その後、年度末に来迎柱の絵様帯に描かれた各モチーフの彩色材料につき科学調査を実施する予定であったが、新型コロナウィルス感染症による緊急事態宣言発出のため、実施ができなかった。この点については、鳳凰堂の空間彩色の問題を解決する糸口となる重要な調査であるため早期の実施をはかりたい。