著者
堀 由里
出版者
桜花学園大学
雑誌
桜花学園大学保育学部研究紀要 = BULLETIN OF SCHOOL OF EARLY CHILDFOOD EDUCATION AND CARE OHKAGAKUEN UNIVERSITY (ISSN:13483641)
巻号頁・発行日
no.25, pp.173-178, 2022-03-15

コロナ禍でマスク生活が続く中、幼児はマスク有りの表情から他者の感情状態を正しく認知することができるのかを試行的に検討するため、マスクをした状態の保育者(写真)や他児(イラスト)の表情と感情音声をマッチングさせる課題を幼児に行った。その結果、8試行のうち正解は半分の4試行で、表情の種類は用意した全ての表情があてはまった。またイラスト刺激よりも写真刺激の方が高正答率であった。一方、表情刺激に対するラベリングを検討した結果、イラスト刺激には全4種の感情に正しいラベリングができていた反面、写真刺激は「怒り」のみ正答で、「喜び」「驚き」「悲しみ」は誤答であった。つまり、写真刺激は、音声刺激とのマッチングにおいては正しく回答できていたが、ラベリングにおいては難しさを感じていたようだった。子どもたちが日々の生活でコミュニケーションをとるのは、イラストで表現されたような分かりやすい表情ではない。そのため、実際の人間の表情を使用した方がより現実に近い状況でのデータを得ることができると考えられる。