著者
吉尾 寛 堀 美菜 松浦 章
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2017-04-01

①代表者吉尾寛が、昨年度研究協力者公文豪氏(高知近代史研究会会長)との調査、又土佐清水郷土史研究会の支援を得て見出すにいたった、当該の漁民の出身地就中高知県土佐清水市(松尾等)ならびに同黒潮町の複数の当事者・遺族に対して、2018年6月(2度)、7月、2019年1月に聞き取り調査を行った。その中で、南方澳出生を確認できる戸籍謄本など本テーマに直結する資料(PDF)を把握するとともに、当地で生まれ現在も当時の事情を具体的に語っていただける方(1名)に辿り着いた。そこで得た情報は、昨年訪問した南方澳郷土史家から聞いた内容と符号するものであり(沖縄漁民の雇用等)、加えて、居住地(一戸建てと集合住宅)の位置、移住した婦人の副業(鰹節工場での労働等)、原住民(「生蕃」)との関わり、当時南方澳に在った日本軍兵営の関係者との交流、米軍の空襲下の状況、日本への「引き揚げ」等に関する新たな事実であった。そして、それらは他の高知県関係者の話と基本的に合致するものであった。②2018年8月台湾側の研究協力者台湾海洋大学卞鳳圭教授と、宜蘭大学の教授(漁業史)の協力を得て南方澳を再訪した。前年同様当地の郷土史家(南方澳 商圏発展協会理事長兼南方澳文史工作室・三剛鉄工廠文物館長、元南興社区発展協会理事長)に対して、上記②の高知県側の調査内容を紹介した。今年度は、高知県での調査に対応する形で、南方澳の側で当時の日本人漁民に関して記憶のある方(1名)が紹介され、始めて聞き取りを行った。蘇澳鎮に在った小学校の事、鰹節工場の位置等の情報を得た。吉尾は当日から翌日にかけて南方澳のほぼ全市街地街を踏査した。③本年度は代表者、分担者、研究協力者がそれぞれ本テーマの直接的な研究成果を発表することができた。