著者
山田 眞 塩田 直人 堀 豪一
出版者
The Showa University Society
雑誌
昭和医学会雑誌 (ISSN:00374342)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.561-563, 1986
被引用文献数
1

55歳男性・昭和61年2月・歩行中に自動車にはねられ近医へ搬入されたが, 呼吸困難, 前胸部痛が軽快しないため, 翌朝, 藤が丘病院へ転送された.来院時, 呼吸数43回/分の頻呼吸を示し, 前胸部は呼気のたびに陥凹を認めたが, 胸部体表に損傷はなかった。胸部X線像で胸骨完全横骨折, および肋骨多発骨折と診断し, 呼吸困難の主因は胸骨骨折にあると判断した.用手的に胸骨骨折の転位を整復したが, 安静を保っても転位を起こすため手術を施行した.全身麻酔下に胸骨骨折部を中聾。約7cmの館正中切開を加えたのみで骨折部, および左右の内胸動静脈を+分に確認することができ, 2本の金属鋼線を用いて胸骨を整腹固定した.放置した肋骨骨おれのための疼痛, 呼吸抑制に対しては, バスとバンドを使用することにより軽快が得られ, 術後第1病日から歩行が可能であった。