著者
堀内 正浩 佐藤 雅幸
出版者
専修大学スポーツ研究所
雑誌
専修大学スポーツ研究所紀要 (ISSN:21895260)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.27-31, 2022-03-31

上肢ジストニア(書痙,奏楽手痙)に対するボツリヌス毒素療法(Botulinum toxin therapy : BTX)・MAB療法(muscle afferent block)について検討した.2021年9月時点で,針筋電図を用い上肢ジストニア(書痙,奏楽手痙)の患者に対してBTX療法やMAB療法を継続している患者18名(男性9名,女性9名,平均年齢53.3歳,平均投与回数18.9回)について検討した.疾患は,書痙が7例,奏楽手痙が3例,上肢ジストニア(範囲が広いもの)が8例であった.症状を分類すると①母指が屈曲するもの ②手首が掌屈するもの ③手首が背屈するもの ④範囲が広いもの ⑤母指以外の指に限局するもの5種類であった.全例においてBTX療法やMAB療法の有効性が認められ治療が継続されており,有害事象も認められなかった.上肢ジストニア(書痙,奏楽手痙)にはBTX療法やMAB療法は有用であるが,注射部位の選択には注意を要する.
著者
櫻井 謙三 田中 成明 柳澤 俊之 森 華奈子 堀内 正浩 長谷川 泰弘
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.55, no.8, pp.555-560, 2015 (Released:2015-08-21)
参考文献数
12
被引用文献数
3

経鼻胃管挿入中に両側声帯麻痺をきたした脳梗塞2例,Parkinson病2例を報告する.症例はいずれも著明なるいそうを呈する高齢者であり,低栄養状態であった.経鼻胃管挿入後平均17.8日で両側声帯麻痺をきたし,3例は気管切開術を施行,全例で救命しえた.両側声帯麻痺の原因は多岐にわたり,臨床現場で厳密にnasogastric tube syndrome(NGTS)と診断することは困難だが,本症の可能性を念頭におき,適切に対処することが肝要である.自験例では低栄養状態や低免疫状態がNGTSの危険因子となりうる可能性を指摘したが,今後,危険因子や誘発因子,対処法について症例を重ね検討する必要がある.