著者
堀内 真愛 古川 善博 掛川 武
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.121-121, 2011

リボースの生成は初期生命の形成において重要である.初期地球におけるリボース生成反応としてホルモース反応が提案されているがこの反応にはリボース前駆体が不安定であるという問題がある.これに対しホウ酸塩を添加するとリボース-ホウ酸錯体が形成され,リボースの安定性が向上することが提案されている.従来の分析法では反応の素過程とそれらに対するホウ酸の影響が明らかにされていない.そこで本研究ではLC/MSによる分析手法開発、さらにホルモース反応において不安定な前駆体であるグリセルアルデヒドの縮重合実験を行い,ホウ酸の影響を検証した. 分析条件開発の結果,2つの配位子交換カラムが適していることが明らかになり,開発した条件で実験生成物を分析したところ,ホウ酸塩を反応に添加した場合,グリセルアルデヒド-ホウ酸錯体が形成し,グリセルアルデヒドの減少率が低下した.これらの結果は, ホウ酸がグリセルアルデヒド-ホウ酸錯体を形成することで,グリセルアルデヒドの安定性を向上させ,ホウ酸が初期地球におけるリボース生成に貢献したことを示唆する.