著者
堀川 慎一 古橋 武 内川 嘉樹
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.5, pp.906-928, 1992-10-15
被引用文献数
56

最近、ニューラルネットワークをファジィ推論におけるファジィルール等の同定に応用する研究が盛んに行われている。本論文では、このようなニューラルネットワークをファジィニューラルネットワーク(Fuzzy Neural Network : FNN)と呼ぶ。 著者らはこれまでに、ファジィルールの後件部が定数および一次式で表されるファジィ推論を実現した2種類のFNNを提案してきた。これらのFNNは、ファジィルールの同定とメンバーシップ関数の調整を自動的に行うことができ、学習結果をファジィルールとして容易に把握できるという優れた特徴を持つが、同定されたファジィルールや学習時の結合荷重に対する学習率設定に問題があった。 本論文では、上記のFNNに対して前件部に規格化演算を行うユニットを導入することにより重心法を実現する手法を提案する。重心法によれば、ネットワークの入出力関係や対象システムの特性を正確に表したファジィルールの同定が可能となる。さらに、後件部がファジィ変数で表される推論法に基づく新しいFNNを提案する。そして、学習における学習率設定の煩雑さを低減する手法について述べ、簡単な数値例により本FNNの有用性を示す。本FNNの前件部メンバーシップ関数は学習において優れた特徴を持ち、バックプロパゲーション法により適切に調整される。また、同定されたファジィルールは対象システムの特性をよく表している。