著者
堀江 周三
出版者
広島文化学園大学
雑誌
呉女子短期大学紀要 (ISSN:09135804)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.39-58, 1992-03-31

近年コンピュータの発達とともに,英語の綴り字方式に存在する規則を分析しようとする試みはかなりの成果をあげてきている。しかし,その結果として,英語の綴り字方式は,以前より考えられていた以上に複雑であることも判明してきており,その成果を英語教育に十分に応用していくためには,今後のさらなる研究が必要である。本研究では,この種の研究としては特に注目に値するR. L. Venezky (1970)の分析結果に言及しながら,この英語の綴り字方式に存在している様々な規則制を検討し,それらの英語教育への応用の可能性も考えてみた。
著者
堀江 周三
出版者
広島文化学園大学
雑誌
広島文化短期大学紀要 (ISSN:13483587)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.7-11, 2003-07-31

英語のスペリング体系が持つ不規則な特性から,これまで400年以上にわたってその体系をより合理的な内容に改めようと数々の提言や試みがなされてきたが,未だにその不規則性は存在したままとなっている。その理由をこれまでの歴史的なときの流れの中で考えてみると,1650年頃には既に本の出版者の間には今日と同じように確りとしたスペリングについての規範ができていた。そして,1770年以降には「ミススペリング」という概念も生まれてきたのであるが,個人の書く手書きの文章にはかなりの多様性が見られたようであった。しかし,それらのスペリングについての規範は次第に社会に定着し,今日に至っているのである。今日,我々が使っている英語のスペリング体系の中に存在する不規則な部分は主に二つの原因から発生していることが,数々の文献で述べられている。その一つは,1400年から1600年を中心にして起こった「大母音変換」(Jespersonによる名称)で,これによって,母音字とその発音の関係が非常に複雑になってしまったのである。そして,もう一つ原因はヨーロッパ言語を源とする外来語によるものであり,その語源を示すためにあえて不規則なスペリング体系を残しているのである。これらの原因を考えて今日の英語のスペリング体系をみてみると,その不規則性に存在するかなりの部分を理解できるといえる。