著者
堀田 佳那 石井 弘明 黒田 慶子
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.505-507, 2015 (Released:2016-04-19)
参考文献数
30
被引用文献数
1 2

アーバンフォレストリーは,都市緑地および周辺の天然林を連続した生態系として持続的に管理する都市型森林管理である。本稿では, 2013~14年に行われたアーバンフォレストリーに関する 2つの国際学会に共通するテーマである都市緑地における生物多様性について,欧米の動向を紹介する。都市緑地において多様な樹種を植栽することは,生物多様性の創出だけでなく,伝染病や害虫被害のリスクを分散・低下させ,都市林の安定的な維持管理につながる。植栽樹種を選定する際は,種の由来(外来種・在来種) だけでなく,多様性や病害虫への抵抗性,持続可能性などといった,実用性で判断するのが現実的である。日本においても,都市緑地とかつての里山を含む都市近郊林を有機的に統合し,持続的に管理していくことによって,天然林や植栽林など,様々な由来の緑地を含む日本型アーバンフォレストが創生され,豊かな地域生態系が実現すると考えられる。