著者
堀田 友三郎
出版者
日本マネジメント学会
雑誌
日本マネジメント学会全国研究大会報告要旨集
巻号頁・発行日
no.66, pp.9-12, 2012-11-03

地域産業としての食品サンプル産業について考察したい。地域に根付き、地域に貢献する産業を地域産業と定義する。岐阜県郡上市に根付いた食品サンプル産業は,昭和7年に岩崎瀧三(故人)が大阪で食品サンプルを事業化に成功したのが発祥と言われる。その岩崎瀧三が郡上八幡出身であったことから昭和30年に(株)岩崎岐阜工場(郡上八幡町)を設立したことに起因する。岐阜工場は現在の岩崎模型製造(株)になっている。郡上市は7月中旬から9月上旬にかけて,郡上踊りや郡上八幡城で有名な観光地であるが、この食品サンプル産業を活用し、産業観光に力を入れている。これは岩崎瀧三が戦時中に郡上八幡へ疎開し、その後、いわさきグループ創業者の出生地、郡上八幡を食品サンプルの町にしようと努力した成果である。いわさきグループは(株)いわさき、(株)岩崎、岩崎模型製造(株)の三社からなっている。この産業の市場規模は約120億円で在るが,約50%をグループで占める。それではどのようにして郡上八幡が食品サンプルの町となってきたか。岩崎瀧三に続く後継者がどのように育成されてきたか。また、これからどのように後継者育成がなされようとしているのか。このような観点からインタビューを試みてきた。たしかに食品サンプル産業は多品種少量生産で地域に密着した営業活動をしなければ成り立たない。地域産業としての食品サンプル産業を郡上八幡の産業観光として活かし,岐阜県も地域の原石としている。B to BからB to Cと産業観光の目玉とした食品サンプル体験が東京、大阪でも注目し始めている。