著者
堀野 眞一
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.67, no.1, pp.23-28, 2013-01

東日本大震災で起きた東京電力福島第一原発の事故は東北から関東にかけた広い範囲に放射能汚染をもたらした。放射能の直接的な作用が,人体に及ぼすのと同様の影響を野生ニホンジカ(以下,シカ)にも及ぼすことは,疑う余地が無い。しかし,それを実際に検出することは容易でなく,長期的な調査研究が必要になると思われる。一方,人間活動,とくに狩猟活動,の変化を介した放射能汚染の間接的な影響は既に出始めている。そのようなことがなぜ起こるのかを理解するとともに,今後の推移を予想するためには,人間とシカの関係について現状と背景を知っておく必要がある。