著者
堀野 雅子
出版者
The Japan Society for Oriental Medicine
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.53, no.1-2, pp.41-46, 2002-03-20 (Released:2010-03-12)
参考文献数
10
被引用文献数
1

傷寒論, 金匱要略において, 振り出し薬として唯一記載されているのは, 傷寒論の大黄黄連瀉心湯である。振り出し薬とした意味は, 緊急性が要求されているからであろうと思われる。筆者は, 大黄, 黄連, 黄苓三味の瀉心湯の振り出し薬を当院受診の高血圧患者32名 (男性5名, 女性27名) に使用し, 服用前, 服用後30分間経時的に血圧測定した。その結果, 収縮期圧10mmHg以上の降圧効果は, 全体の68.8%であった。平常時, 陽実証と思われない人においても降圧効果があった。今回の投与において, 下痢をした人はいなかった。振り出し薬は瀉下作用よりも, 鎮静作用が強調されていると思われた。緊急的に血圧上昇した場合の降圧剤として有用と思われる。
著者
堀野 雅子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 = Japanese journal of oriental medicine (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.27-31, 2010-01-20
参考文献数
10

リベド血管炎は,日常診療上対応に苦慮する皮膚疾患のひとつである。リベド血管炎と診断され,難治性の下肢の多発性潰瘍が,漢方治療によって奏効した一例を経験した。症例は23歳の女性で,X‐2年春より打撲傷のような皮疹が出現し,他病院にてリベド血管炎という診断を受けた。X年4月より両下肢に有痛性潰瘍が多発しはじめ,西洋医学的標準治療に抵抗した。X年5月6日より当院漢方治療を開始,約4カ月で有痛性潰瘍は消失した。薬剤は当帰四逆加呉茱萸生姜湯を主に,加工附子末,排膿湯,千金内托散,伯州散,当帰芍薬散を使用した。リベド症状は残っており,完治には長期治療を有すると思われるが,激痛を伴う潰瘍から開放されて,日常生活は正常に戻った。
著者
堀野 雅子
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.801-804, 2005-09-20
参考文献数
8
被引用文献数
3 3

半夏厚朴湯は金櫃要略記載の気剤で「咽中炙臠」を目標に使用される事が多いが, 先人達は腹候, 特に中〓痞満の重要性を指摘している人も多い。そこで咽中炎臠と中〓痞満の関係を中心に検討してみた。半夏厚朴湯証と思われる患者18名 (男性2名女性16名) 全員中〓圧痛及び不快感のあった人について半夏厚朴湯エキス又は煎じ薬を投与して主訴, 自覚症状, 腹候特に中〓の状態, 服薬後の中〓の変化について検討した。咽中炎臠は66.7%, 冷えは55.6%, 腹力は中程度が77.8%, 心下に変化のあった人は38.9%, 振水音は11.1%であった。服薬後の中〓の状態は, 記載漏れを除く69.2%が圧痛又は不快感が消失または軽減していることが判明した。
著者
堀野 雅子
雑誌
漢方の臨床 (ISSN:0451307X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.3, pp.371-374, 2001-03-25
参考文献数
5
著者
堀野 雅子
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.27-31, 2010 (Released:2010-06-22)
参考文献数
10
被引用文献数
1

リベド血管炎は,日常診療上対応に苦慮する皮膚疾患のひとつである。リベド血管炎と診断され,難治性の下肢の多発性潰瘍が,漢方治療によって奏効した一例を経験した。症例は23歳の女性で,X‐2年春より打撲傷のような皮疹が出現し,他病院にてリベド血管炎という診断を受けた。X年4月より両下肢に有痛性潰瘍が多発しはじめ,西洋医学的標準治療に抵抗した。X年5月6日より当院漢方治療を開始,約4カ月で有痛性潰瘍は消失した。薬剤は当帰四逆加呉茱萸生姜湯を主に,加工附子末,排膿湯,千金内托散,伯州散,当帰芍薬散を使用した。リベド症状は残っており,完治には長期治療を有すると思われるが,激痛を伴う潰瘍から開放されて,日常生活は正常に戻った。
著者
堀野 雅子
出版者
社団法人日本東洋医学会
雑誌
日本東洋醫學雜誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.46, no.1, pp.105-107, 1995-07-20
参考文献数
7
被引用文献数
2 1

桂姜棗草黄辛附湯の加味方としての, 桂枝湯エキス, 麻黄附子細辛湯エキス合方の効果を検討した。 寒がり或いほ手足の冷えを有し, かつ桂姜棗草黄辛附湯証を示唆するとされる心下部の盤状抵抗のある症例に同方剤を投与したところ15症例 (頭痛, 感冒, 鼻炎, 冷え, 下痢等) で主症状の著明な改善をみた。 このうち2症例 (頭痛, 下痢) の経過を報告した。 同方剤の証は桂姜棗草黄辛附湯証に類似しており, 相違点について注意する限り, 桂姜棗草黄辛附湯の便方として使用しうるものと考えられた。