著者
堤 千絵
出版者
国立科学博物館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

さまざまな環境に進出し多様化を遂げた植物の大部分が菌と共生し,植物の陸上への進化には共生菌が重要な役割を果たした可能性が指摘されている.本研究では,地上から樹上へと進化した着生植物に着目し,着生植物の進化に伴う共生菌の遺伝的分化,各菌が植物の生育に与える影響を調査した.ラン科クモキリソウ属の着生種フガクスズムシと地性種クモキリソウでは,菌根菌が遺伝的にわずかながら異なり,菌により植物の発芽率やプロトコーム分化率が異なることから,菌の分化が生育場所の分化に関与していると推定された.ツツジ科の一部の分類群でも分子系統解析や菌の比較を行った.