著者
堤 清浩 西坂 剛
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス
巻号頁・発行日
vol.95, no.597, pp.43-48, 1996-03-19
参考文献数
9

新しい機能性材料として期待されるfullerene(C_<60>)は, 光子エネルギーの吸収により活性酸素種の一つである一重項酸素を発生する. この一重項酸素は, 癌の光化学治療で重要な役割を果たすことからC_<60>の新規増感剤としての利用を検討した. polyvinylpyrrolidone(PVP)による水熔化C_<60>は, 260nm, 340nmに吸収ピークを有しており, 水溶化包C_<60>の細胞殺傷能力の有無を培養HeLa細胞, およびNd:YAGレーザー(355nm)を用いて行った. その結果, 水溶化C_<60>)は, 光子エネルギーの吸収により増感剤として十分な殺傷能力をもつことが明らかとなった. 殺傷効果のメカニズムの解明に, 1, 3-diphenylisobenzofuran(DPBF)および一重項酸素の消去剤であるsodium azideを用いて検討した結果, その要因が一重項酸素であることが判明した.