著者
杉原 誉明 孝田 雅彦 岡本 敏明 三好 謙一 的野 智光 法正 恵子 岡野 淳一 磯本 一 堤 玲子 江原 由布子
出版者
一般社団法人 日本肝臓学会
雑誌
肝臓 (ISSN:04514203)
巻号頁・発行日
vol.57, no.11, pp.571-576, 2016-11-20 (Released:2016-11-29)
参考文献数
16
被引用文献数
8 14

薬物アレルギーの検査であるリンパ球刺激試験(drug-induced lymphocyte stimulation test;DLST)の陽性率は,約4割と報告されているが,偽陽性などの問題がある.今回,薬物性肝障害,薬物アレルギーの患者において2回目のDLSTが起因薬物同定に有用か検討した.対象は2009年から2015年の間に当院で同じ薬物に対して2回DLSTを行った症例を抽出し,後ろ向きに検討した.2回目の測定までは,中央値で82(27-247)日であった.1回目で,原因薬物の同定感度は53.9%,特異度61.5%,陽性適中率(PPV)58.3%,陰性適中率(NPV)57.1%であったが,2回目では感度87.5%,特異度72.2%,PPV58.3%,NPV92.9%であり,感度・特異度,NPVが向上した.DLST2回目測定は起因薬物同定に有用と考えられた.