著者
竹田 正久 塚原 寅次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.174-181, 1963-02-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
10

山田等は滓引期間に新酒中に含まれている多くの活性酵素類の作用により特に糖類あ, アミノ酸が増加し自然酒味も変化して熟成するものであり, それ故に新酒の早出しを要する場合には品温をあげて酵素類の活動を促せば早熟することを考え滓引中の清酒の品温を15℃位迄昇せて早熟効果を挙げることを考案した。近年再びこの早熱法について山田, 古川, 高橋, 秋山等によって検討が加えられ「新酒の調熟には約30℃ に加温して10日前後保つ」のが最適であることが認められている。そして30℃加温法による清酒のアミラーゼ力価, 糖分の増加あるいは酸化還元電位に関係あるI. E. T値 (I. T. T) 即ち酸化還元電位に対する緩衝能を測定し, 熟成の理論と最もよく一致するものであると述べている。筆者等は加温調熟法による清酒の酸化還元電位 (rH) を測定し調熟との関係について種々検討を行なったのでここに報告する。
著者
中田 久保 坂井 劭 竹田 正久 塚原 寅次
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本釀造協會雜誌 (ISSN:0369416X)
巻号頁・発行日
vol.75, no.9, pp.761-764, 1980-09-15 (Released:2011-11-04)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1

1.こうじ菌の生産する抗菌性物質“Yeastcidin”は, Aspergillus oryzaeのある種の菌株をこうじ汁に静置培養した時のみ生産する清酒酵母以外の醸造酵母の増殖を抑制する抗菌性物質である。2.合成培地や市販糖化酵素剤による蒸米の糖化液にこのこうじ菌を培養しても“Yeastcidin”は生産されない。3.本物質“Yeastcidin”を生産させるためのこうじ汁に用いるこうじ米の精米歩合, 製きく時間, こうじ汁濃度等に差異をもうけても生産量に影響はない。4.こうじ汁のpHは5.0~6.5の間が最も抗菌力を強く示し, 通常のこうじ汁ではpH調整の必要はなかった。5.培養温度については27~30℃の間が最も強く生産し, 培養日数は15~20日間を要した。