著者
土井 浩一郎 塚本 博則 里村 幹夫 中川 一郎 中村 佳重郎 東 敏博
出版者
日本測地学会
雑誌
測地学会誌 (ISSN:00380830)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.59-70, 1988

同じコソクリート台の上に設置された2台のLaCosteamp;&Romberg重力計D-58とG-680を用いて,1984年9月から1985年7月にかけての約11ヵ月間にわたり,重力の潮汐変化の連続観測が静岡において行なわれた. 同一地点に設置されている重力計に与える気温,気圧および海洋潮汐などの擾乱源による:影響はほぼ共通していると考えられるために,2台の重力計によるデータからは,調和解析により,類似の結果が得られるであろうと予想される.しかし,実際には,2台の重力計による約11ヵ月間のデータを用いて求められたδ一ファクターは,LaCoste&Romberg重力計G-680から得られたもののほうがやや大きい値を示し,時間変化の様子もあまり似ていなかった.その原因については,現在のところ,まだ解明されていない. LaCoste&Romberg重力計D-58より得られた同時観、測の約11ヵ月間のデータとその期間を含む約2年間のデータからそれぞれ得られたδ一ファクターを比べてみると,0.1%程度でよく一致しており,ほぼ1年間のデータを用いて解析がなされた場合は,きわめて安定した結果が得られることが確かめられた. 地震予知に対する応用においては,より短い解析期間を用いて,より高い精度の解析結果が得られることが要求される.そこで,解析に用いられるデータ期間の長さと2台の重力計で得られたδ一ファクターの差の関係を調べてみた.その結果,解析期間の長さを30日以上とした場合,比較的安定した結果が得られるものの,その変動はかなり大きいことがわかった.