著者
塚本 照美
出版者
中央大学国文学会
雑誌
中央大学国文 (ISSN:03898598)
巻号頁・発行日
vol.60, pp.37-52, 2017-03-25

寛政から文化・文政期にかけて急速な流行を見るようになった俳諧一枚摺。その一枚摺の中に、文化期に活躍した武州大谷村の俳人・五十嵐梅夫・濱藻父娘の描かれている歌舞伎顔見世番付を模した一枚摺がある。これには「今文化七庚ノ午半」や「蕉風一躰」の書入れがある。このことから、梅夫・濱藻父娘の西国への旅の時期と重なると推察し、梅夫が上梓した『草神楽』と濱藻が上梓した『八重山吹』での興行地や一座した連衆を検証しながら、歌舞伎顔見世番付を模した一枚摺と梅夫・濱藻の西国行脚との関係を考察した。