著者
塚田 文也 池内 幸司
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B1(水工学) (ISSN:2185467X)
巻号頁・発行日
vol.77, no.2, pp.I_1381-I_1386, 2021 (Released:2022-02-15)
参考文献数
22

近年の日本における水害による死者の発生状況について詳細な分析を行い,日本の水害に対して適用可能な新たな人的被害推計手法を構築した.浸水状況を表すパラメータのうち,浸水深と水位上昇速度が死者率と明確に関係していた.浸水深については,水面が人の頭付近まで至る浸水深1.5-2m以上の領域のみで死者が生じていた.水位上昇速度については,2階建ての1階で死亡したケースで,水位上昇が速いほど死者率が高かった.水位上昇速度に基づき設定した3つのゾーンと,浸水の時間帯と年齢によってクラス分けを行い,各クラスに分析結果から得られた死者率を設定することで人的被害推計手法を構築した.構築した手法を近年の日本における水害に適用した結果,死者率をおおむね正確に推計することができた.