著者
塩原 直美
出版者
茨城県立医療大学
雑誌
茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.139-143, 2003-03

精神科における長期入院患者には, 精神症状を呈する知的障害者のいることがある。報告する症例は32歳で統合失調症の症状として時折, 不穏・興奮状態を呈し, 対人行動において適切な行動がとれない知的障害を有する女性であった。当該長期入院患者に対し適応の援助として遊び的な手芸活動と園芸, レクリエーションの集団活動を作業療法介入とした。その結果, 症例は行動随伴性の制御により, 衝動的な行為が改善し退院に至った。しかし, 数年後に再入院をした。本症例に対する作業療法の経験は, 統合失調症に知的障害をあわせもつ場合には, より詳細な評価と治療プログラムの継続ならびに社会資源の活用が必要であることを示唆するものである。