- 著者
-
落合 幸子
- 出版者
- 茨城県立医療大学
- 雑誌
- 茨城県立医療大学紀要 (ISSN:13420038)
- 巻号頁・発行日
- vol.6, pp.37-46, 2001-03
大学生のコラージュ作品の中に見られるコラージュ身体像のうち, 顔の切断事例を分析して, 切断の背景に見られる心理を探った。顔の切断の出現率は12%で男性に多く見られた。(1)両性を備えた人間を作る, (2)顔を縦・横・不規則に切断する, (2)目に細工をする, (4)身体を三つ以上の部分から合成する, の4つの種類がある。(1)には, 顔の半分に異性の顔を貼る事例, 身体と異なる性の顔を付け替える事例があり, 仮面を被る, 自己主張, 受け狙いを表現していた。(2)には, 顔を縦に切断する事例, 横に切断する事例, 不規則に切断する事例があり, 否定, 崩壊, 混沌を表現していた。(3)には眼鏡をかける事例, 目を際だたせる事例, 多くの目を貼る事例, 顔の輪郭を無くす事例, 目が覗いている事例があり, 自分を隠す, 対人恐怖など, 他者の目を気にする心理が表現されていた。(4)の三つ以上の身体を合成する事例では, 受け狙い, 変身願望の心理が表現されていた。大学生で得られた結果は, 中学生の特徴を明らかにする手ががりとなると考えられる。