著者
塩川 宏郷
出版者
自治医科大学
雑誌
自治医科大学紀要 (ISSN:1881252X)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.135-138, 2013

【目的】少年司法(矯正医療)の領域において小児科医の役割を明らかにすることを目的とした。【対象および方法】平成23年1月~平成24年12月の2年間に東京少年鑑別所に入所し,医務課診療所を受診した少年を対象とした。診療録を用いて診断分類・治療内容等について検討した。【結果】この期間に医務課診療所を受診した少年はのべ1651人(男子1240人,女子411人,平均年齢17.8歳)であった。疾病内訳は,内科系疾患36%,精神科疾患20%,ついで皮膚科疾患が18%を占めた。内科系疾患では呼吸器系疾患が多くついで消化器系疾患であった。精神疾患では睡眠障害が36%,注意欠如多動性障害が18%,広汎性発達障害が14%であった。皮膚科疾患はアトピー性皮膚炎が大半をしめたが,ケジラミ感染や疥癬など,専門的な知識と対応を求められることがあった。また,婦人科疾患は全体の4%であったが,性行為感染症35%,月経困難20%,妊娠17%であり,外部の医療機関との連携が必要であった。【結論】少年司法における小児科医の役割は,思春期総合医療を提供することである。