著者
鳥畠 康充 塩梅 修
出版者
日本脈管学会
雑誌
脈管学 (ISSN:03871126)
巻号頁・発行日
vol.52, no.January, pp.25-29, 2012-01-11 (Released:2012-01-11)
参考文献数
13

要 旨:肺血栓塞栓症で争われた民事裁判の20判決を分析した。司法判断は,医療過誤が頻発し医療界の体質改善を社会から強く求められた20世紀末,それに対する反省や改善から沈静化に至った21世紀初頭の社会的背景とよく一致していた。検査の有無,治療段階におけるヘパリン使用の有無,診断や治療の妥当性などが重要な争点となっていた。近年の裁判では,VTE予防ガイドラインが参考にされることは多いが,司法判断は概ね控えめで理性的であった。