- 著者
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塩谷 菊美
- 出版者
- 日本文学協会
- 雑誌
- 日本文学 (ISSN:03869903)
- 巻号頁・発行日
- vol.61, no.7, pp.33-43, 2012-07-10 (Released:2017-11-22)
「『歎異抄』は唯円が親鸞の言葉を記したもの」というのが通説だが、親鸞曾孫で本願寺創立者の覚如の著した『執持鈔』『口伝鈔』『改邪鈔』『親鸞伝絵』をもとにして、「親鸞の口伝を唯円が語り、覚如が筆記した」という体裁で作られた、一種の親鸞伝ではないだろうか。『歎異抄』に記されているのは「親鸞が語ったこと」ではなく、後世の本願寺関係者が考えた「親鸞が語ったはずのこと」と見るべきである。