著者
増田 玲一郎
出版者
京都大学
雑誌
京都大学文学部哲学研究室紀要 : Prospectus
巻号頁・発行日
vol.1, pp.1-12, 1998-12-01

長い間,指図されなくても自分で判断し行動する,気の利いたコンピュータが求められている。人間のように思考する人工知能は,まだ夢の世界の存在である。他方,最近のソフトウェア製品は,その多機能を簡単に利用できるような工夫がなされていて,気を利かしているつもりらしい。しかし,私見ながら,この工夫は上手く行っていないように思われる。困難は技術的な問題ではなく,'気を利かす'という働きそれ自体にあると思われる。気を利かせるべき状況で,人間はどのように振る舞っていて,コンピュータはどのように振る舞うべきか,それらに関する問題をこの論文で考察する。気を利かせる働きの重要な部分は予断に基づく。コンピュータは予断するべきではないであろう。あくまで人間が主体的に判断し,コンピュータは,人間の判断行為を支援することに専念すべきであろう。
著者
増田 玲
出版者
社団法人 日本写真学会
雑誌
日本写真学会誌 (ISSN:03695662)
巻号頁・発行日
vol.78, no.1, pp.4-7, 2015 (Released:2016-10-15)
参考文献数
6
被引用文献数
2

2013年に東京で開催された 「アンドレアス・グルスキー」 展は,巨大な作品による洗練された展示空間で注目された. 1990年代に台頭したグルスキーら,ドイツ現代写真は,いわゆるビッグ・ピクチャー時代をもたらしたことで知られる.ビッグ・ピクチャーには,作品を印画表面でアクリルにマウントする 「ディアセック」 がよく使われる.ディアセックを含む大型の写真作品の展示と保存をめぐって美術館が直面する課題について報告する.