著者
奥村 幸彦 増野 淳 南田 智昭 須山 聡 岡田 隆
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 通信ソサイエティマガジン (ISSN:21860661)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.186-199, 2020 (Released:2020-12-01)
参考文献数
14

第5 世代移動通信システム(5G)の特長を生かした医療分野の新しいソリューション実現に向け,NTTドコモが推進してきた5G を医師対医師の遠隔診療に活用する事例の検討及びその実証試験の実施結果を紹介する.2017 〜 2019 年度に総務省の5G 総合実証試験として医療機関を含むパートナーとともに推進した実証試験は,地域医療・救急医療の充実に向け,5G の超高速通信を生かして複数の医療機器から出力される高精細診断映像とテレビ会議の映像をリアルタイムに同時伝送する試験用のシステムを構築し,それらを用いて複数の診療科を対象とした試験・評価を通して5G を活用する遠隔診療システムの有効性を確認した.地域医療分野における実証試験では,和歌山県において,山間部診療所での遠隔診療,遠隔訪問診療,遠隔教育,遠隔移動診療の各事例について,また,救急医療分野における実証試験では,群馬県前橋市において,救急搬送の高度化ソリューションとして,3 または4 拠点間で救急搬送情報を共有する形式の遠隔診療について,それぞれ実験用5G 無線通信装置を用いた試験を行い,各試験に参画した医療従事者及び関係者から多角的な評価結果を得た.