著者
須山 聡
出版者
The Association of Japanese Geographers
雑誌
地理学評論 (ISSN:13479555)
巻号頁・発行日
vol.76, no.13, pp.957-978, 2003-11-01 (Released:2008-12-25)
参考文献数
52
被引用文献数
1 1

本稿は富山県井波町の瑞泉寺門前町の景観を分析し,井波彫刻業が景観形成に果たしな役割を明らかにする.彫刻業者は,1970年代半ば以降門前町に進出し,近世末から近代にかけての商家建築を借り,作業風景や作品が外部から見える工房を意図的に作った.伝統的な彫刻と伝統的な建築物との組合せを,歴史的背景を知らない観光客は,「伝統」的景観と理解するが,両者は歴史的に関連を持たない.ゴッフマンの劇場理論を用いた分析から,門前町には観光と工業の二つの舞台が併存することが明らかになった.前者は「伝統」を,後者は生産をテーマとし,いずれにおいても彫刻業者が主役を演ずる.「伝統」テーマを期待した観光客は,彫刻業者が生産をテーマとしていることを理解しようとせず,彫刻業をアトラクションとして楽しむ.行政・地域社会は,彫刻業を利用した街路の修景などで,舞台を「伝統」テーマに沿って演出した.彫刻業者は工業の舞台にあり続けながら,行政・地域社会が演出した観光地の景観を経営資源として利用している.門前町の景観は,異なる景観形成主体によって演出された舞台の二重構造によって形成された.
著者
石橋 洋輝 鈴木 博 府川 和彦 須山 聡
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.109, no.130, pp.137-142, 2009-07-09

受信アナログ信号から同相・直交成分のディジタル信号を生成するIQ検波において,リアルゼロ系列から波形を再生する技術を適用し,受信信号の飽和増幅出力からIQ波形を生成する方法を提案する.この方法では受信線形増幅における非線形歪抑圧の要求が大幅に緩和される.そのため,今後のRFとベースバンドを一体化したSi-CMOS技術に適合している.まず変調された受信信号の帯域外に正弦波を加える.その後信号を増幅し直交検波を行う.受信増幅器としてはある一定レベル以下には線形増幅の領域があり,それ以上では飽和する飽和形線形増幅器と,線形領域がない完全なリミタ形の2種類について検討する.リアルゼロ系列の時刻をサンプリングするTDCには線形補間形と単純量子化形の2種類を検討する.計算機シミュレーションにより提案した検波器の性能を明らかにする.最大変調周波数の64倍の搬送周波数で信号を送信する狭帯域信号に対して,ピーク振幅の1/32以上が飽和する歪の大きな受信増幅器でもEVMが-50dB以下の高い精度で検波波形を再生できることを示す.また,それ以上の歪の増幅器の場合,EVMが-27dB程度と再生波形の精度が大きく劣化することを示す.
著者
須山 聡
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.11, no.3, pp.3-20, 2018 (Released:2019-04-01)
参考文献数
13

本論は,奄美大島における世界自然遺産登録に向けたさまざまな取り組みをたどることにより,奄美大島の人びとにとって世界自然遺産が持つ意味を,地域間の関係性に即して明らかにすることを目的とする。奄美の世界自然遺産登録運動は,地域の活性化,観光の振興,奄振の延長・継続を具体的な狙いとしていたが,その本質は内地に奄美の存在を認めさせることであった。世界遺産の理念とは相容れない地域的なエゴイズムが,運動を進める推進力となった。そのため,顕著な普遍的価値という,世界遺産の理念は奄美では正当に理解されることなく,「言葉の受容」にとどまった。その背景には,国家を上回る権威と結びつくことにより,日本本土を奄美に振り向かせるという奄美の戦略があった。世界自然遺産は,日本に奄美を認めさせるための道具として機能した。
著者
須山 聡
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2015, 2015

本論は高齢化と過疎化の進展の結果,居住者がいなくなるという,図式的な「過疎化言説」を批判的に捉え,離島の過疎を客観的に評価する材料を提供し,離島の無人化について新たな知見を得た。戦後,全国で78島が無人化したが,多くは過疎化以外の要因によるもので,過疎化にともなう人口減少の末の「無人化島」はわずか15島にすぎないことがわかった。さらにそれらのうち12島は行政からの勧奨に応じた集団離島によって無人化した。無人島の発生は,過疎の終着点ではなく,むしろ行政が無人島化を最終的に進めた。集団離島に際しての行政/住民の意志決定プロセスを,詳細に検討する必要があることがわかった。
著者
チョウ ケツテイ 須山 聡 鈴木 博 府川 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.147, pp.59-64, 2007-07-12
被引用文献数
1

MIMO-OFDM移動無線伝送システムにおいて,周波数選択性フェージング環境における伝送特性の改善と送信信号のピーク電力の低減を同時に実現できるサブキャリア位相ホッピング選択マッピング(SPH-SLM)を,非線形入出力特性を有する送信電力増幅器のある伝送系に適用し,送信信号スペクトラムおよびパケット誤り率(PER)における改善効果を明らかにする.SPH-SLMは,各サブキャリアの位相を回転させ,誤り訂正符号による周波数ダイバーシチ利得を向上する.また,位相を回転させるパターンを複数用意し,ピーク対平均電力比(PAPR)を最小にするパターンを選択する.具体的には,4×4MIMO-OFDMシステムにおいて,SPH-SLMによりPAPRを抑えた信号を送信電力増幅器に入力し,非線形歪が送信スペクトラムや伝送特性に及ぼす影響について計算機シミュレーションを行う.位相パターン数U=16のSPH-SLMを用いることにより従来のMIMO-OFDMに対してCCDF=10^<-3>においてPAPRが3.1dB低減できることを示す.また,帯域外スペクトラムにおいて,入力バックオフ(IBO)を8dBとしたときSPH-SLMにより20MHzにおける帯域外幅射電力を5dB以上抑えられることを示す.さらに,伝送特性においては,R=1/2のQPSKとR=3/4の16QAM,64QAMにおいてSPH-SLMによりPERが改善され,非線形歪の影響をほとんど受けないIBOの下限はSPH-SLMでは6dBであることを示す.
著者
五嶋 研二 府川 和彦 須山 聡 鈴木 博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. CS, 通信方式 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.455, pp.31-36, 2009-02-23

本報告では,移動通信における中継システムとして,i)雑音が加わったアナログ信号を再送するAF(Amplify-and-Forward)と,ii)復号して再送するDF(Decode-and-Forward)を切替える方式を検討する.中継局において,CRC復号による判定誤りが検出された場合はAFを行い,誤りが検出されない場合にはDFを行う.さらに送信側とは異なる符号化を行いHARQ(Hybrid ARQ)と同様の高信頼化を図る.また,受信側で直接受信と中継局経由の受信信号の合成メトリックを求め,復号に必要なビット対数尤度比(LLR)を算出するために,まずプリアンブル信号を用いてチャネル推定とレプリカ誤差の平均電力推定を行い,合成メトリックの重み係数をレプリカ誤差の平均電力値から求める方法を提案する.マルチパスフェージング条件下でOFDM伝送の計算機シミュレーションを行い,i)切替方式はAFとDFよりも優れたパケット誤り率(PER)特性が得られ,ii)中継局での受信レベルが高く高符号化率の場合に異符号を用いる方式が効果があること,iii)準静的伝搬環境ではチャネル推定の精度による劣化が小さいことを明らかにする.
著者
張 立 須山 聡 鈴木 博 府川 和彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. RCS, 無線通信システム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.518, pp.359-364, 2008-02-27

移動通信において周波数利用効率の向上が期待されるインターリーブ多元接続方式(IDMA)に対して,チャネル推定を含むターボ信号検出を適用し,その伝送特性を明らかにする.IDMAとしては,周波数帯域を有効に利用できるOFDMを用いたMC-IDMA,別名OFDM-IDMAを検討する.送信側の誤り訂正符号は,畳み込み符号と繰り返し符号を結合して低符号化率にしたものを用いる.受信側はターボ信号検出を行い,繰り返し処理におけるチャネル推定にはソフト判定指向形チャネル推定(SDCE)を適用する.初回は符号化されたビットの対数尤度比(LLR)が分からないので,パイロット・シンボルを用いてRLSアルゴリズムによりチャネル推定を行う.データ区間ではそのチャネル・インパルス応答の推定値を用いて単純な軟判定を行い,さらにMAP復号器で誤り訂正符号の復号を行う.繰り返し処理では,MAP復号器からのLLRを用いてレプリカを生成し,受信信号との平均2乗誤差が最小になるようにチャネル・インパルス応答をLMSアルゴリズムを用いて推定する.計算機シミュレーションにより,提案したチャネル推定法を備えるMC-IDMAが良好な特性を実現できることを示す.また,MC-CDMAとの比較を行い,時間拡散および周波数拡散のMC-CDMAよりもビット誤り率(BER)が優れているが,チップインターリーブを行う周波数拡散MC-CDMAとBER特性が同等となることを示す.
著者
鈴木 博 府川 和彦 須山 聡
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

将来のマルチメディア通信に向けて,高速・高信頼移動パケット無線の研究を理論と実験の両面から行った.MIMO-OFDM伝送システムを中心に検討した.送受信側で複数アンテナを用いるMIMO技術と,広い帯域幅を直交分割するOFDM技術により通信路容量の最大化を図る.統計的ディジタル信号処理の導入による高性能化,位相雑音等による劣化の低減化,広帯域ミリ波帯の開拓を行った.当初の研究目標はほぼ達成された.