著者
増野 高司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2013, 2013

本報告では,宴席を設けた花見客を対象として,宴席の場所取りの実態を把握するとともに,花見客へのインタビューをもとに,その活動実態を明らかにする.そして,筆者がおこなった全国各地の事例と比較することから,弘前公園の花見の特徴について考察を試みる.<br><br> 調査地は青森県弘前市の中心部に位置する弘前公園(別名:鷹揚公園)である.弘前公園(総面積約49万2千㎡)は,弘前藩を治めた津軽家代々の居城だった弘前城を基に設立された公園である.1918年に第1回の観桜会が開催され,その後弘前さくらまつりに名称を変更し,毎年祭りが開催されている.<br><br> 弘前さくらまつりでは,青森県内のみならず全国から花見客が訪れサクラを楽しむ.弘前市の発表によると,2013年のさくらまつり期間(4月23日~5月6日)には,約202万人が弘前公園を訪れたという.弘前さくらまつりは,全国で開催されるさまざまな祭りと比べても,屈指の規模を誇る祭りといえる.<br><br> さくらまつり期間中には,弘前公園内の各地で,花見客がブルーシートなどを敷き宴席を設ける.本報告では,弘前城本丸地域に宴席を設けた花見客を調査対象とし,直接観察およびインタビューによる調査を実施した.弘前城本丸地域への入場は有料だが,ここからは弘前城に加え岩木山を展望することができ,人気の場所取りスポットのひとつとなっている.現地調査は2013年4月末から5月半ばにかけて,さくらまつり期間を中心に実施した. <br><br> 弘前公園の花見客は,大学生を含めた弘前市の地元の方,日帰り可能な地域の方,そして遠方からの観光客など多様だが,その花見活動は,サクラの咲き具合や天候に加えて,花見の予定日の設定方法,そして花見をするグループの規模などにより,多様であることが示唆された.<br>
著者
増野 高司
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2012, 2012

本報告では,大阪府の公園で行われた花見を事例として,その花見活動を概観するとともに,各地の公園管理の側面から,花見に対する行政による対応の違いを把握することを試みる. 調査地は,①造幣局「桜の通り抜け」(大阪府北区),②万博記念公園(大阪府吹田市),③大阪城公園(大阪市中央区),④元茨木川緑地(大阪府茨木市),⑤安威川河川敷(大阪府茨木市),である.調査は,2012年4月から5月にかけて実施した. 公園管理の側面から,各地の花見に対する対応をみたところ,火気利用および飲食,具体的にはバーベキューの可否,に対する対応に大きな違いがみられた. 都市部の公園における花見は,都市部への人口集中が進むなかで,例えばバーベキューに対する行政による対応の違いが示すように,その社会環境に合わせた実施形態が求められており,その試行錯誤が続けられている.