- 著者
-
壁谷 喜継
- 出版者
- 神戸大学
- 雑誌
- 奨励研究(A)
- 巻号頁・発行日
- 1994
平成6年度科研費支給期間において、以下のことを解明した。1)球対称解の構造を決定した柳田の条件が成立しないとき、正値rapid-decay解の近傍は振動解(無限個の零点を持つ解)のみであることを示した。従来、rapid-decay解は孤立していることが知られていたが、その近傍の様子は柳田の条件が崩れたときには、知られていなかった。このことにより、今までに知られていた解の構造以外のものがあることがわかった。これは、砲撃法(shooting法)と変分法を組み合わせることにより、スケール不変量をうまく見つけだしたことによるものである。いままでは、変分法(関数解析的手法)と常微分方程式の関係がはっきりしなかったのであるが、それを解明したものである。今後は大域的な構造も明らかにしたい。2)m-Laplace方程式の指定された零点を持つ解の存在を示した。この方程式は、Laplace方程式の自然な拡張であるが、技術的にいくつかの困難を伴っている。それを克服し、一般性のある方法にするため、r=1での初期値問題を考え、全域に応用したものである。方程式は、r=0,r=∞に特異点を持つため、r=1から問題を解くことの方がやさしい。さらに、零点の数が指定されているので極座標に変換して零点の数を指定に添うようにした。極座標にすることで、Dirichlet,Neumann以外の境界値問題にも応用が容易になった。