著者
壁谷 順之
雑誌
情報学研究 = Studies in Information Science (ISSN:24322172)
巻号頁・発行日
vol.26, pp.15-23, 2017-03-31

近年、税務申告等を取り巻く環境が急速に進展している。政府の規制改革推進会議は、ICT(情報通信技術)を活用した納税手続きの簡素化を求めている。目下のところ、財務省と国税庁は、企業が税務申告する際の国税電子申告・納税システム(e-Taxイータックス)を義務化する方向性で検討している(2019年度実施予定)。こうした動きは、いずれも公民の税務作業を効率的に実施していくことを目的としている。一方で、地方税においてもポータルシステム(eLTAXエルタックス)が導入されており、利用件数は年々増加している。このように、国・地方の徴収システムの共存について、現在ではどのように検討していくべきなのか。地方分権、あるいは地方創生の現代社会の枠組みにおいて、国・地方の連携の方向性を考察していくことが本稿の問題意識である。税務行政の効率化は従来から視野に入っている課題であり、本稿ではこうした現状と課題を整理し、今後の展開について論じていく。
著者
壁谷 順之
出版者
朝日大学大学院経営学研究科
雑誌
朝日大学大学院経営学研究科紀要 (ISSN:13460544)
巻号頁・発行日
no.19, pp.33-43, 2019-03

昨今、長引く低金利状況の中で、個人の老後資産設計の必要性が高まっている。特に、2014年より開始された少額投資非課税制度(以下、NISAに統一)等や2017年に大幅制度改正された個人型確定拠出年金(以下、個人型DCに統一)の動向が注目されている。一方で、国民年金の第1号被保険者(自営業者等)は、以前より制度的にあまり優遇されているとは言い難い。このため、資産設計の上でも制度内容を十分に理解・検討し、対策していく必要があると考える。そこで、本稿では個人の資産運用とそのあり方について、現状と課題を整理することが目的である。具体的には、自営業者等が様々なメニューから選択するために、税制優遇措置の有効活用に焦点を当てて制度上の比較・検討していく。