著者
久保 明美 垣田 時雄 高木 敦司 松永 隆 外林 秀紀 岡村 康彦
出版者
The Japanese Society of Internal Medicine
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.77, no.4, pp.506-509, 1988

気温20~22°C,湿度55~62%,風力1.5m,天候晴というさほど高温多湿ではない条件下に,体熱の放散が妨げられて発症した熱中症3例につき報告した.症例は24~26才の男性,警察学校生で,警備装備品を着装して3~4km駆け足を行ない,意識消失,転倒した. 1例は当日入院,急性胃粘膜病変を呈し,翌日以降に高度の肝機能障害を認めた. 2例は翌日入院でともに高度の肝機能障害を呈し,うち1例は腎不全,播種性血管内凝固症候群をきたして血液透析,血漿交換にて救命しえた.熱中症を発症した場合は,たとえ発症時の症状が軽度であっても適切な加療と経時的な肝機能,腎機能の検索を行なうことが必要と考える.